Quantcast
Channel: 烏は歌う(はてなダイアリー跡地)
Viewing all articles
Browse latest Browse all 114

[ボイトレ][メンタル]練習のやり方や順序について。「全習法」と「分習法」など。

$
0
0

全習法か分習法か


学習や練習において、自分にとって今必要なのが「全習法」なのか「分習法」なのかを意識すると、効率が上がるときがあります。


「全習法」というのは、課題をひとまとまりのものとして、最初から最後まで通して練習するという方法ですね。

対して「分習法」というのは、課題を幾つかの部分に分けて、一つずつクリアしていく練習法になります。


課題曲の練習、という例で考えると…

・とにかく頭から最後まで通して練習する→「全習法」

・幾つかの部分に分けて練習する→「分習法」

という感じになります。


「全習法」のメリットは、(課題をやり通せる実力があるなら)効率がよいこと、効果が高いことです。

また、「体系的」な考え方を身につけるのにも、「全習法」は有効なやり方になります。

デメリットとしては、どうしても「一区切り」に辿り着くまでの時間がかかってしまうので非常に疲労感が溜まりやすかったり、「評価」の回数が少ないのでモチベーションを保ちにくかったり「達成度」や「つまづきポイント」の確認がしにくい、などという問題があります。

さらに、やる人のレベルが十分でないと、ただ「わからないまま時間が過ぎる」状態になってしまやすいので、そういう点にも注意が必要。


「分習法」のメリットは、時間がかかるけれど確実に一歩一歩学べるため、難しい課題や新しい課題に対しても効果を出しやすいことです。

また、「明らかな弱点を克服する」ためや、「欠けている基礎的能力を補う」ためにも効果的な方法です。

デメリットは、「分習法」で学んだパートを最終的に全体として統合できないと、「実践性に欠けた練習」になってしまいがちなことです。

そうなってしまわないよう、つねに「体系的知識・視野」や「計画性」を頭に置いておかないといけません。


どちらが向いているのかは、練習する人のレベル・課題のレベルによって時々変化しますので、そこをしっかりおさえておかないと、効果的な練習はしにくいですね。

また、どっちにしても「同じ方法ばかりやっていると」モチベーションは下がりやすいので、注意が必要。

「全習法」と「分習法」のどちらか片方だけに偏るのではなく、適度に混ぜてバランスさせていくのが重要です。



混ぜ方の一例、「スイッチフルバック」


「全習法」と「分習法」の混ぜ方の一例としては、例えばこんな方法があります。


「急がばまわれ」で復習を効率化する「スイッチフルバック」復習法 - 感謝のプログラミング 10000時間

スイッチフルバックとは、昨日は1ページ目から10ページ目をやったら、明日は1ページ目から20ページ目をやる。

明後日は、1ページ目から30ページをやる・・・というように、いちいち最初から全部復習する、という方法だ。

これをやると、いつまでも先に進まないように考えがちだが、全然そんなことはない。

復習するたびに、「1ページを読むためにかかる時間」が短くなるからだ。

何回も繰り返しているうちに、5秒くらい目を通せば全ページの内容が頭にフラッシュバックするようになる。

「思い出す」という過程が、復習になる。

そうやって、一回一回切り返して最初に戻って復習することから、「スイッチフルバック」と名付けられた。


「分習法」を繰り返しながら、「昨日までにやった部分の復習」+「今日やった部分の復習」という風に反復学習する範囲を増やしていき、徐々に「全習法」に近づけていく方法ですね。

こういう名前や具体的なやり方を知らなくても、「あ、なんかこれやったことあるかも!」と思った人もいるかも。

ただ、仕組みや「意識して」やるかどうかによって、けっこう違います。

…知らないでやると、途中で不安になってやめちゃったり、微妙に間違ったやり方でやっちゃったりしちゃうからね。


基本的に記憶を定着させる(知識的な意味でも、歌のような運動記憶的な意味でも)ためには、基本的には「反復」しかありません。


「記憶」の仕組みを知って効率よく学習したい…その4、長期記憶を「想起」しやすく保つために - 烏は歌う


ひたすら反復するうちに、記憶が「勝手に想起される状態」になってくるわけでして。

「復習」になるだけでなく、ちゃんと「教科書」「学習する順番」が正しければ、

「これから学ぶ内容も、自然と簡単に頭に入る(情報が想起されすい状態で記憶される)ようになっていく」

という「予習」効果すら出てくるのが「スイッチバック」のすごいところなんですよね。


…「スイッチバックをやると最初の方ばっかりおぼえてしまって、後半がボロボロになる」みたいな感想をもつ人もいるみたいだけど、それって

・明らかに途中でやめてしまった

・過去の学習分が十分に定着する前に、先に進みすぎている

・「教科書」が体系性に欠けていて、先に学んだことが後に生かされる形になってない

とかそんな「間違った学習法」状態になっていたのでは、と。



「後ろから」やってみるのもあり


ただまあ、別に学ぶ内容に「体系性」とかがない場合は、あえて「最初から」やる必要がない、という場合も非常に多いです。

例えば、こんなやり方。


山枡信明(@nobuyamamasu)/2013年05月04日 - Twilog



このツイートからはじまる、とある声楽家さんの連ツイですが、「逆行スイッチバック」とでも言うべき方法を提案されていますね。

…音楽の練習、特に「実践的」で「体系的・学問的ではない」内容を学ぶときには、このやり方は非常に有効かもしれません。


この方法だと、初期の「分習法」段階でモチベーションが落ちる理由になりやすい、

「この練習を続けると、最終的にどうなるか、わからん」

という問題が発生しにくいのも非常に重要なポイントです。

後ろからやれば、その練習の「出口」が見えてるわけで、精神的に楽になることも多いでしょうね。



バラバラにするのもあり


あとは、あえて反復練習する順番を崩して、バラバラにやってみる方法もあります。

これは、「単純」「簡単」な内容を一気に大量に記憶(いわゆる丸暗記)するのに向いています。

体系的な能力や、学問的な考え方、複雑なコンビネーションスキルを習得するのには全く向きません。


記憶力にも「中だるみ」がある!?…「初頭効果と終末効果」 - 烏は歌う

人間の脳というのは、「順番に記憶していく」時に、「最初の方」と「最後の方」を特に記憶しやすい、という特徴があります。

その、最初の方を記憶しやすいという性質を「初頭効果」、最後の方を記憶しやすいという性質を「終末効果」と言います。

・順番をあえてバラバラにして、組み替えてみる

いつも同じ順番で同じ内容を反復学習しようとすると、初頭効果と終末効果によってその順番の「最初」と「最後」ばっかり記憶してしまいやすいです。

なので、ときどき意識して、その順番を組み替えることで、初頭効果・終末効果が起きる場所を変えてみましょう。

記憶に残りにくい「真ん中」部分をあえて最初にもってきて初頭効果で憶えたり、最後に「真ん中」部分だけをあえて取り出して復習することで終末効果を起こしたり。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 114

Trending Articles